2010年11月14日日曜日

大久保恒夫さんの「商人魂」

マーケティング本部の谷口です。

イト-ヨーカ堂出身の経営コンサルタントで、ファーストリテイリングや良品計画のコンサルティングで名をはせた大久保恒夫さんは、2007年にスーパーマーケット「成城石井」の代表取締役に就任しました(2010年9月から相談役)。
大久保さんが成城石井でもっとも力を入れたのは、現場の人たちに「商人魂」を植え付けることでした。大久保さんのいう商人魂とは、「お客様に満足していただける売り場を作るためにはどうしたらいいかだけを考え実行しようという想い」のことです。
そのためにまずやるべきことは挨拶。次にクリーンネス(清掃)。そして絶対に品切れをおこさないこと。
売上げを上げようと思わなくていい。お客様に満足していただければ、売上げは自然に上がる、という考え方です。
この考え方は、商店街の活性化にも役立つような気がします。イベントで人集めをしようとする前に、まず「商人魂を磨く」、という基本をしっかり押えておきたいものですね。
 
 

2010年10月8日金曜日

和歌山県、コンビニ売上げ比率は全国最下位

マーケティング本部の谷口です。

和歌山県は、全小売業の販売額に占めるコンビニ売上げの比率は3.15%で、これは全都道府県で最下位(47位)だそうです。46位は島根県(3.28%)、45位は鳥取県(3.58%)。
1位は山梨県で6.42%、2位北海道は6.23%、3位神奈川県6.23%。
以上、㈱ブレイントラスト川名眞さんのメルマガで知ったデータです。

コンビニは、効率のよい人口密度の高い地域に多くなる傾向があるが、2位の北海道の場合は逆に人口密度が薄くてスーパーマーケットが成り立たない地域が多いので、コンビニがそれを補っているのではないか、というのが川名さんの解説です。
和歌山県の最下位はどう解釈すればいいのでしょうか。スーパーのオークワさんが小型店舗を密度高く展開しているので、コンビニが立地する余地が小さいということかも知れません。

和歌山県や和歌山市は、消費関連のランキングではトップグループかまたは最下位あたりか、どちらか極端な位置を占めることが多く、沖縄ほどではないにしても、ちょっと変わった消費性向があるような気がします。
 
 

2010年10月1日金曜日

香川県からのお客様

マーケティング本部の谷口です。

昨日夜7時ごろ、㈱ぶらくり直営のハンドメイド雑貨店「JAM PICNIC」のシャッターを下ろしかけていると、そこへお客様が一人。
「もう閉店ですか?」
「まだ大丈夫ですよ。」
「じゃ、お財布とりに行ってきます」
と駆け出していき、しばらくして戻ってきたときは、お友達と合計4人になっていました。
それから1時間半くらい、楽しそうにあれこれ商品を吟味され、たくさんお買い上げくださいました。
県民文化会館で開催された何かの大会に参加するため、香川県から来られたとのこと。近くのホテルに宿泊されていたようです。

この方たちの財布のひもは、常のお客様に比べると少しゆるいように感じました。観光気分がそうさせるところもあるのでしょう。それに何より買い物を楽しんでくれていたので、こちらも楽しい気持ちになりました。

長浜の黒壁などと違い、ぶらくり丁はいまのところ観光客の多い商店街ではありませんが、活性化のために観光客を呼びたいという声も出ています。観光客が増えると、ただ来街者が増えるという以上の効果があるのかもしれません。商店街に、いい意味の緊張感とか、楽しい気分が生まれるのではないかと、香川県からのお客様の相手をしながらそう感じたのです。
 
 

2010年9月11日土曜日

撤退する理由(1)の続き

マーケティング本部の谷口です。
 9月末で閉店の予定だった北ぶらくり丁の飲食店から、経営を継続したいという申し出があり、大家さんのところに行って賃貸借契約の延長をお願いしてきました。
 9月になってから客足が少し上向いてきたということで、「これならやっていけるかも」、という判断になったようです。商店街のためにはいい知らせですが、やるならやるでしっかりがんばってほしいものです。
 業態は昼食主体の大衆食堂なので、それほど利益の出るものではないでしょうが、逆に言うと、メニュー内容など多少冒険してもブランドを損ねる心配もなく、気軽にどんどん新メニューを投入していけば道は開けるのではないでしょうか。
 
 

2010年8月3日火曜日

撤退する理由(2)の続き

マーケティング本部の谷口です。
7月3日に書いた閉店予定の衣料品店の前を通りかかったら、店主のTさんが店の片づけをしていました。もうほとんど商品は引き上げていて、Tさんはさばさばした表情です。こういう見切りのよさはぼくも見習いたいところです。
詳しく聞いてみると、扱い商品は10代の女の子向けではなく、30代、40代の大人の女性向けだということなので、3日の記事は訂正しなくてはいけません。
ただし、立地と商品がミスマッチであったという販売不振の理由そのものは、間違っていませんでした。ターゲットとする年齢層の通行客はほとんど期待できない、というのです。
Tさんと話をしている目の前を、70代と思われる女性の二人連れが通っていきます。 しばらく通行客を観察していましたが、60代以上が半分を超えている印象です。
あらためて言うのもなんですが、これはちょっと大変かも。
 
 

2010年7月18日日曜日

撤退する理由(3)書店

マーケティング本部の谷口です。
和歌山市本町1丁目の老舗書店宮井平安堂が、6月に本売り場を閉めてしまいました。


文具や楽譜の売り場は従来どおり続けていますが、何といっても宮井さんといえば本ですから、中心商店街に与える影響は小さくないと思います。
ぼくも子供のころからよく通いました。…と書きかけて、よく考えてみると、通ったのは高校生のときまでであることに気づきました。高校を出てから後、20代のころは神戸に住んでいたので元町の海文堂や梅田の紀伊国屋がなじみだったし、いまはアマゾンの通販で買ったりロイネットホテルの下の宮脇書店に行ったりで、宮井さんはあまりひいきにしていなかったなあ。
総務省の家計調査によると、和歌山市の世帯あたり書籍購入金額は、県庁所在都市の中で全国最低レベルです。大学生の数が少ないこともこの一因でしょうか。
こういう街で書店を営むのは、まあ、難しいことではあるでしょうね。
 
 

2010年7月3日土曜日

撤退する理由(2)衣料品店

マーケティング本部の谷口です。
ぶらくり丁商店街にある、10代の女の子向け衣料品を販売する店が閉店することになりました。営業不振による撤退です。
北ぶらくり丁の飲食店から、同じく営業不振による閉店の知らせをきいたばかりなので、ああまたか、と少しがっかりしました。
この店の経営者は、他所でも同様の店を持っているベテランなので、経営能力に問題があったとは思えません。
考えられるのは、立地と商品がミスマッチであったということです。
10代の女の子というのはすぐに成長して好みも変わっていくので、固定客としてリピートする期間は短く、常に新しい顧客を獲得し続ける必要があると考えられます。
そのためにはターゲットとなるような年齢の女の子が集まる立地でないと難しいということなのでしょう。
ぶらくり丁商店街は、通行客そのものが少なく、まして10代の女の子が好んで集まる場所ではありません。
最初から勝ち目はなかったのかもしれません。
 
 

2010年6月27日日曜日

撤退する理由(1)飲食店

マーケティング本部の谷口です。
北ぶらくり丁のある飲食店が経営不振で閉店することになり、経営者の方に頼まれて、大家さんに賃借契約解除の通知に行ってきました。こんなことも仕事のうちです。
開店してから1年半。来客数が少ない様子なので気になっていましたが、やっぱりの結末です。
開店当初、経営者の方は「和歌山は昼食を安く食べられる店がないから」と、低価格路線にかなり自信を持っておられました。でもその路線ではうまくいかなかったという結果です。
ぼくは「ぶらくり丁界隈は商業地としては決していい立地とはいえないので、わざわざ行く価値のあるステキな店でないとやっていけない」という仮説を立てています。安いだけでは「わざわざ行く価値がある」とはいえません。
価格を上回る価値とは何か。それを見出して実現させるのが経営者の役割です。
 
 

2010年4月8日木曜日

和歌山バーガー(1)

マーケティング本部の谷口です。
商品開発の方は少しずつですが進んでいて、いまのところ「和歌山ご当地バーガー」の企画が先行しています。
飲食物は衛生管理も重要なので、素人ばかりでは不安な面もあり、幅広く飲食業に携わっておられるAさんに協力を打診してみたところ、快く了解をいただきました。
ただしAさんは、ジビエ(野生動物の肉)は基本的にはそれほどおいしくはない、という意見。まあ、そうかもしれませんね。イノシシがとびきりうまかったら、厄介者扱いはされないでしょうから。
商品開発の難しいのは、素人だけではなかなか進まないが、プロの力を借りすぎると結局常識的な路線に落ち着きがちなところ。
爆発的に売れなくてもかまわない。でもせっかくやるのだから少しは評判になってもらいたい。そういう一般性と独自性がほどよくバランスした商品設計がうまくできるでしょうか。楽しみです。
 
 

2010年3月4日木曜日

「お楽しみ袋」はなぜ完売したか

マーケティング本部の谷口です。
まちづくり会社が運営するハンドメイド雑貨店JAM♥PICNICでは、いま「訳ありセール」を開催中です。
このセールのために、各作家さんに、格安で販売可能な作品の出品をお願いしたのですが、高松市に住むvanillaさんは、ヘアゴムなど小品を数点詰め合わせた「お楽しみ袋」を送ってくれました。 全部で17袋あったのですが、なんと今日、完売になりました。
セールが始まって8日目なので、平均して日に2袋ずつ売れたことになります。同じ作家の同じ作品がこんなにまとまって売れるのはJAM♥PICNICでは珍しいことなのです。

「お楽しみ袋」はなぜ完売したのでしょうか。
激安だったから?それもあるでしょう。2500円相当分(本人の評価)入って500円です。
でも他の作家さんの売れ具合を見ていると、必ずしも安いから売れるというわけでもなさそうです。

クラフト紙の小洒落た袋と「お楽しみ袋」というネーミングの勝利、というのがぼくの推測。ひと手間かけたことで、お客様とうまくコミュニケーションできたということではないでしょうか。
皆様の分析はいかがですか。
 
 

2010年2月21日日曜日

雑魚は磯辺

マーケティング本部の谷口です。
大手家電量販店に押され苦境に立つ街の電器屋さんを組織化し、一括仕入れ等で生き残りを目指そうという㈱アトムチェーン本部のことは、業績の急伸に連れ、よくマスコミでも紹介されるようになってきました。
最近では2月7日放送のNHK大阪「ルソンの壺」に井坂社長が出演されていましたが、このとき、井坂社長が語った言葉が「雑魚は磯辺」です。
この言葉をちょっと調べてみましたが、「雑魚は磯辺に、鯨は沖に」という、ひとつのことわざのようです。雑魚がむやみに沖に出ては生きられないし、鯨は磯辺では腹がつかえて身動きできない。それぞれ、自分が得意とする持ち場で生きるべきだという意味でしょう。
「身の丈○○」という表現がありますが、同じような意味だと思います。
中心市街地のマーケティングを考えるときにも、大きなヒントになることわざではないでしょうか。
目標達成への道筋が見えにくいようなとき、「雑魚は磯辺、雑魚は磯辺」と唱えていると、不思議になんとなく気持ちが楽になります。
 
 

2010年2月9日火曜日

「中心商店街区域再生事業」第3回ミーティング


マーケティング本部の谷口です。
今日、「和歌山市中心商店街区域再生事業」第3回ミーティングがありました。一応、最終回です。

株式会社ソフトクリエイションの筒井光康先生から「ぶらくり商店街の活性化へのヒント」というテーマでお話いただき、ハーツ環境デザインの鈴木俊治先生からは、メインストリートプログラムの手法を参考にしながら㈱ぶらくりの方向性について、示唆に富んだお話をうかがいました。

この件で筒井先生と三菱総研の山田さんはそれぞれ5回、鈴木先生は3回、和歌山に来てくださって、現場を足で歩き、細かい事情もよく把握した上で分析と提案をしてくださったので、お話の中身はとても充実していたと思います。
ミーティングは午後1時から5時過ぎまでの長丁場なので、途中で気分転換を兼ねて商店街を歩きました。写真は農産物の産直店に立ち寄っているところ。
なんとなく怪しい集団に見えたのか、お店の人にちょっと警戒されてしまいました。たしかに、マスクの人なんかはかなり怪しいですね。
 
 

2010年2月6日土曜日

「創造都市のための観光振興」


マーケティング本部の谷口です。
最近読んでおもしろかった本の紹介です。
著者の宗田好史さんは京都府立大学准教授で、留学したイタリアでの生活経験もあるので、主に京都市とイタリアの地方都市を例に挙げながら、観光まちづくりについて論じています。
「観光客と市民、観光と日常の境界は溶け出している。市民が求めるまちづくりと観光客が求めるまちづくりの方向は一致し始めている。」という指摘は興味深い。観光客も来ないような街は市民にとってもおもしろくないし、市民が訪れて楽しい街は観光客にとっても楽しい、ということですね。

「まず、日帰り観光客を確実に増やせ」という指摘も重要です。
日本一の観光都市である京都市でも、全入込客数の8割が日帰り客、発地別に見ると近場の近畿圏からの客が全体の7割以上、10回以上京都市を訪れたことがあるリピーターが6割を占めるというデータを踏まえての指摘です。
和歌山市中心市街地のマーケティングにとってのヒント満載の一冊です。
 
 

2010年1月26日火曜日

ぶらくり丁6商店街、それぞれの自己診断

マーケティング本部の谷口です。
24日(日)、ぶらくり丁6商店街それぞれ個別にグループインタビューをさせていただきました。
中心商店街区域再生事業の一環としての調査で、三菱総研の山田さんと酒井さんが、休日返上で作業に当たってくださいました。
商店主の皆様から各商店街の顧客像などをお聞きするのが目的で、1商店街につき1時間ずつお話をうかがいましたが、地元にいるぼくも、こういうテーマで商店主の方々とお話しする機会はあまりないのでなかなか興味深かったです。
「自分たちの商店街の特徴は何だと思いますか」という質問に対し、ほとんどの商店街がしばらく考えてから答えていたなかで、「ぶらくり丁大通り」だけは、遊興、と即答しました。
遊興という言葉はちょっと古めかしいですが、要するに「商店街」ではなく、「歓楽街」であるというのです。なるほどそういえば、歴史をみても現状をみても、その通りです。当事者の方々の迷いのない答えぶりからそのことに誇りをお持ちであるということがよくわかりました。
「歓楽街」という言葉に何となく負のイメージを持っていたぼくにはこれは意外でしたが、とてもおもしろい発見でもありました。

そのほか、ぶらくり丁は「業種構成に偏りがない」、中ぶらくり丁は「若者向けの店舗が多い」、北ぶらくり丁は「高級品を販売する店が多い」という自己診断。東ぶらくり丁は「主に商店街の東側および東北側エリアの住民を対象とする最寄品販売」、本町通りからははっきりした答はありませんでした。
 
 

2010年1月21日木曜日

松場登美さんの講演、聴いてきました

マーケティング本部の谷口です。
いま、㈱石見銀山生活文化研究所長、松場登美さんの講演を聴いてきたところ。フォルテワジマで開かれた、和歌山大学観光カリスマ講座です。
島根県大田市大森町から7時間かけて来てくださったそうで、それだけでもありがたいことです。和歌山市まちおこし推進課の中林課長さんと並んで前列に座らせてもらい、しっかりお顔を見ながら聴かせていただきました。
人口400人程度の、辺境とも言える集落を本拠に、従業員が100人を上回るという事業体群を作り上げ、運営しているのですから、語りつくせないほどの山や谷を越えてきているはずですが、与えられた場所でせいいっぱい美しい花を咲かせることの喜びを静かに語っておられました。
いま全国の多くの商店街が、モノではもう幸せになれない時代にいったい何を売ればいいのか、その答がわからずに悩んでいます。
「本当の幸せはお金では買えない」とおっしゃる松場さんの言葉の中に、重要なヒントがあると思いました。
 
 

2010年1月9日土曜日

ぼくのちょっと気になる商品③石見銀山「群言堂」

マーケティング本部の谷口です。
「群言堂」については今さっき知ったばかりですが、HPを見てとても興味を引かれるものがありました。
http://www.gungendo.co.jp/honten/index.html
これはたぶん、とても能力のあるキーパーソンがいるのだろうと思って見ていくと、どうやら松場登美という人がその人らしいのですが、なんとタイミングのいいことか、この21日に、フォルテワジマで講演されるとプロフィール紹介に書いてありました。午後6時から、「観光カリスマ講座」です。
いろいろ調べるよりも、聴講に行くのが早そうです。
 
 

2010年1月5日火曜日

ぼくのちょっと気になる商品②おがわ温泉、花和楽の湯

新年あけましておめでとうございます。
マーケティング本部の谷口です。
今年もよろしくお願いします。

「おがわ温泉、花和楽(かわら)の湯」は、フォルテワジマの「ふくろうの湯」と同様のいわゆる温泉・温浴施設です。
所在地は埼玉県比企郡小川町。埼玉県中央部のやや西寄り。ちなみにここは衣料品チェーンの「しまむら」発祥の町でもあります。
東京から客を呼ぼうと思うと、一般的な日帰り温浴施設の立地としては遠く、宿泊してもらうには近すぎるという中途半端な距離。大阪圏での和歌山市のような感じです。
そこで考えたのが、「泊まれない高級旅館」というコンセプト。
宿泊はできないのに、施設の外観、インテリア、庭園、サービスなどはリゾート地の高級旅館そのままのつくりにしてあるのです。
料金は1350円。これで茶菓、浴衣、バスタオルが付き、岩盤浴も利用でき、時間は無制限です。 別料金になりますが貸切風呂もあります。
開業して6年、年商7億円。
大阪圏から和歌山市への誘客を考える上で、参考になりそうです。

「おがわ温泉、花和楽の湯」のHP
           http://www.kawara-r.co.jp/