2011年1月9日日曜日

藻谷さんのベストセラー「デフレの正体」

マーケティング本部の谷口です。

政策投資銀行の藻谷浩介さんが書いた「デフレの正体-経済は人口の波で動く」がよく売れているようです。
いま日本が直面している経済停滞や消費不振が、景気循環からくるデフレではなく、人口減、とりわけ15歳から64歳までの生産年齢人口の急激な減少によるものであることを、講演口調でわかりやすく述べたものです。
車や食品をはじめ、多くの商品の販売額がなぜ減り続けているのか、なぜ商店街が軒並みシャッター通り化していくのか、データを駆使して明快に説明されています。
正月のNHKの経済特番でも紹介されていましたね。

経済学者からは「常識的過ぎる」とか、「デフレの原因はひとつではない」とか批判されているようですが、経済が素人のぼくにはとてもよくわかり、納得できる分析でした。

中心市街地や商店街の活性化に携わる方々には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
 
 

2010年11月14日日曜日

大久保恒夫さんの「商人魂」

マーケティング本部の谷口です。

イト-ヨーカ堂出身の経営コンサルタントで、ファーストリテイリングや良品計画のコンサルティングで名をはせた大久保恒夫さんは、2007年にスーパーマーケット「成城石井」の代表取締役に就任しました(2010年9月から相談役)。
大久保さんが成城石井でもっとも力を入れたのは、現場の人たちに「商人魂」を植え付けることでした。大久保さんのいう商人魂とは、「お客様に満足していただける売り場を作るためにはどうしたらいいかだけを考え実行しようという想い」のことです。
そのためにまずやるべきことは挨拶。次にクリーンネス(清掃)。そして絶対に品切れをおこさないこと。
売上げを上げようと思わなくていい。お客様に満足していただければ、売上げは自然に上がる、という考え方です。
この考え方は、商店街の活性化にも役立つような気がします。イベントで人集めをしようとする前に、まず「商人魂を磨く」、という基本をしっかり押えておきたいものですね。
 
 

2010年10月8日金曜日

和歌山県、コンビニ売上げ比率は全国最下位

マーケティング本部の谷口です。

和歌山県は、全小売業の販売額に占めるコンビニ売上げの比率は3.15%で、これは全都道府県で最下位(47位)だそうです。46位は島根県(3.28%)、45位は鳥取県(3.58%)。
1位は山梨県で6.42%、2位北海道は6.23%、3位神奈川県6.23%。
以上、㈱ブレイントラスト川名眞さんのメルマガで知ったデータです。

コンビニは、効率のよい人口密度の高い地域に多くなる傾向があるが、2位の北海道の場合は逆に人口密度が薄くてスーパーマーケットが成り立たない地域が多いので、コンビニがそれを補っているのではないか、というのが川名さんの解説です。
和歌山県の最下位はどう解釈すればいいのでしょうか。スーパーのオークワさんが小型店舗を密度高く展開しているので、コンビニが立地する余地が小さいということかも知れません。

和歌山県や和歌山市は、消費関連のランキングではトップグループかまたは最下位あたりか、どちらか極端な位置を占めることが多く、沖縄ほどではないにしても、ちょっと変わった消費性向があるような気がします。
 
 

2010年10月1日金曜日

香川県からのお客様

マーケティング本部の谷口です。

昨日夜7時ごろ、㈱ぶらくり直営のハンドメイド雑貨店「JAM PICNIC」のシャッターを下ろしかけていると、そこへお客様が一人。
「もう閉店ですか?」
「まだ大丈夫ですよ。」
「じゃ、お財布とりに行ってきます」
と駆け出していき、しばらくして戻ってきたときは、お友達と合計4人になっていました。
それから1時間半くらい、楽しそうにあれこれ商品を吟味され、たくさんお買い上げくださいました。
県民文化会館で開催された何かの大会に参加するため、香川県から来られたとのこと。近くのホテルに宿泊されていたようです。

この方たちの財布のひもは、常のお客様に比べると少しゆるいように感じました。観光気分がそうさせるところもあるのでしょう。それに何より買い物を楽しんでくれていたので、こちらも楽しい気持ちになりました。

長浜の黒壁などと違い、ぶらくり丁はいまのところ観光客の多い商店街ではありませんが、活性化のために観光客を呼びたいという声も出ています。観光客が増えると、ただ来街者が増えるという以上の効果があるのかもしれません。商店街に、いい意味の緊張感とか、楽しい気分が生まれるのではないかと、香川県からのお客様の相手をしながらそう感じたのです。
 
 

2010年9月11日土曜日

撤退する理由(1)の続き

マーケティング本部の谷口です。
 9月末で閉店の予定だった北ぶらくり丁の飲食店から、経営を継続したいという申し出があり、大家さんのところに行って賃貸借契約の延長をお願いしてきました。
 9月になってから客足が少し上向いてきたということで、「これならやっていけるかも」、という判断になったようです。商店街のためにはいい知らせですが、やるならやるでしっかりがんばってほしいものです。
 業態は昼食主体の大衆食堂なので、それほど利益の出るものではないでしょうが、逆に言うと、メニュー内容など多少冒険してもブランドを損ねる心配もなく、気軽にどんどん新メニューを投入していけば道は開けるのではないでしょうか。
 
 

2010年8月3日火曜日

撤退する理由(2)の続き

マーケティング本部の谷口です。
7月3日に書いた閉店予定の衣料品店の前を通りかかったら、店主のTさんが店の片づけをしていました。もうほとんど商品は引き上げていて、Tさんはさばさばした表情です。こういう見切りのよさはぼくも見習いたいところです。
詳しく聞いてみると、扱い商品は10代の女の子向けではなく、30代、40代の大人の女性向けだということなので、3日の記事は訂正しなくてはいけません。
ただし、立地と商品がミスマッチであったという販売不振の理由そのものは、間違っていませんでした。ターゲットとする年齢層の通行客はほとんど期待できない、というのです。
Tさんと話をしている目の前を、70代と思われる女性の二人連れが通っていきます。 しばらく通行客を観察していましたが、60代以上が半分を超えている印象です。
あらためて言うのもなんですが、これはちょっと大変かも。
 
 

2010年7月18日日曜日

撤退する理由(3)書店

マーケティング本部の谷口です。
和歌山市本町1丁目の老舗書店宮井平安堂が、6月に本売り場を閉めてしまいました。


文具や楽譜の売り場は従来どおり続けていますが、何といっても宮井さんといえば本ですから、中心商店街に与える影響は小さくないと思います。
ぼくも子供のころからよく通いました。…と書きかけて、よく考えてみると、通ったのは高校生のときまでであることに気づきました。高校を出てから後、20代のころは神戸に住んでいたので元町の海文堂や梅田の紀伊国屋がなじみだったし、いまはアマゾンの通販で買ったりロイネットホテルの下の宮脇書店に行ったりで、宮井さんはあまりひいきにしていなかったなあ。
総務省の家計調査によると、和歌山市の世帯あたり書籍購入金額は、県庁所在都市の中で全国最低レベルです。大学生の数が少ないこともこの一因でしょうか。
こういう街で書店を営むのは、まあ、難しいことではあるでしょうね。